maximum principle の基本
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導入
このページの核心は、Laplace 方程式や熱方程式では、内部の最大値が境界や初期条件に支配されることである。
用語と定義
maximum principle は、楕円型や放物型の PDE で、解の最大値や最小値が領域内部で自由には発生しないことを述べる原理である。
方針
Laplace 方程式 \Delta u=0 の解は、内部に源を持たない平衡状態である。そのため、境界より大きい山や小さい谷が内部に新規に発生しない。
弱最大値原理
有界領域 \Omega で u が連続で、内部で \Delta u=0 を満たすとする。このとき u の最大値と最小値は境界 \partial\Omega で達成される。これは内部に境界より高い山が孤立して出現しないことを述べる。
より正確には、u\in C(\overline{\Omega})\cap C^2(\Omega) で \Delta u=0 なら、
\max_{\overline{\Omega}}u=\max_{\partial\Omega}u,\qquad
\min_{\overline{\Omega}}u=\min_{\partial\Omega}u
である。強最大値原理では、内部で最大値を取る非定数解は存在しない、という形で述べる。
弱最大値原理の証明の核
証明の発想は、内部最大では二階微分の和が正になれない、という事実である。まず滑らかな関数 v が内部点で最大値を取るなら、その点で Hessian は負半定値である。したがって
\Delta v\le 0
である。
一方、u が調和関数なら \Delta u=0 であり、このままでは弱最大値原理を直接に矛盾へ接続しにくい。そこで
v_\varepsilon(x)=u(x)+\varepsilon |x|^2
を導入する。n 次元では
\Delta v_\varepsilon=2n\varepsilon>0
である。もし v_\varepsilon が内部で最大値を取れば、内部最大の必要条件から \Delta v_\varepsilon\le 0 となり矛盾する。したがって v_\varepsilon の最大値は境界で達成される。最後に \varepsilon\to 0 として u の最大値も境界で制御される。
この議論は厳密には有界領域、連続性、内部での C^2 正則性を仮定する。定理の強化版では、楕円型作用素の係数条件も確認する。
重要性
maximum principle は、解の一意性や安定性の証明に使用される。明示解が得られない場合であっても、解の範囲を制御できる。
一意性への応用
同じ境界値を持つ二つの調和関数 u,v があるとする。w=u-v とおくと、\Delta w=0 であり、境界では w=0 である。maximum principle により w の最大値も最小値も 0 であるため、w=0、すなわち u=v である。
heat 方程式の場合
熱方程式では、時間区間を含む円柱領域の底面と側面が最大値を支配する。内部で温度が初期値や境界値を超えて自由に増加しないことを意味する。
たとえば 0<x<L で u_t-\kappa u_{xx}=0、u(0,t),u(L,t) と u(x,0) がすべて 0 から 100 の範囲に入るなら、内部の温度もその範囲を逸脱しない。新しい熱源が内部にないため、境界と初期状態が範囲を制御する。
比較例: 波動方程式
波動方程式では、初期速度により内部の値が後から大きくなることがある。双曲型では最大値の支配より、有限伝播速度とエネルギー保存が中心になる。したがって maximum principle は PDE 全般の性質ではなく、楕円型・放物型に特徴的な原理である。
直感図としての説明
Laplace 方程式の解を薄膜の高さとして解釈する。境界を固定し、内部に支柱や力を置かない場合、膜の内部に境界より高い山は形成されない。この図式は厳密証明の代替ではないが、境界支配の直感を与える。
どこまで成り立つか
maximum principle は方程式の型と係数の条件に依存する。双曲型の波動方程式では、同じ形式では成立しない。